定年退職後に年金をもらいながら働くなら月いくら稼ぐのが妥当?裏技は?

人生100年時代を迎え、老後の生活資金を充足させ、安定したセカンドライフを送るために定年退職後も年金を受け取りながら働き続けようと考えている人が増えています。

年金をもらいながら働いて収入を得る場合には、その金額に注意しなければ、せっかくもらえる年金がカットされる可能性があります。

それでは、毎月いくらくらいまで稼ぐのが妥当な金額なのでしょうか?

年金をもらいながら働く場合を考えつつ、バリバリ稼いでも年金をカットされ無い「裏技」も紹介しますので、参考にご覧ください。

大切なのは自身にとって妥当な月収を導き出すこと

大切なのは自身にとって妥当な月収を導き出すこと

「毎月いくらくらいまで稼ぐのが妥当な金額か」というのは、人それぞれの考え方や置かれた環境、さらに一緒に生活を共にする人たちとの関わり方によって大きく異なります。

単身なのか、配偶者と一緒なのか、健康面に問題は無いのかなどによって働き方が変われば、収入も大きく変わってきます。

その一方で、年金に関しては、どれだけ収入があれば、どれだけ減額されるのかなど基本的な算出方法が決まっていますので、試算することができます。

以下の3パターンでいくらくらい稼ぐと、年金はどれくらい減額されるのか見ていくことにしましょう。

将来が不安で働く場合

老後の生活資金もあるし、60歳で定年退職を迎え退職金や年金も受給することで安定した老後は送れても、急激な世の中の変化や年金が減額されるなど社会保障制度への不安が払拭できずに働く場合には、在職老齢年金の仕組みを理解しておくことが必要です。

在職老齢年金とは、厚生年金に加入して働いている会社員が厚生年金を受給する場合、給与と年金の「合計額」が47万円を超えた場合に、支給される厚生年金の一部ないし全額が停止されるという仕組みです。

将来の不安に備えて働く場合は、給与と年金の合計額が47万円以下に収まるよう働くのが妥当といえるでしょう。

この在職老齢年金は厚生年金のみに適用される制度のため、自営業などの厚生年金に加入

しないで働いている方や、国民年金のみに加入している方には適用されません。

老後資金が不十分で働く場合

老後資金が不十分で、年金だけでは生活できないという場合は、生活していくのに必要な金額分を稼ぐことが必要になります。

その金額も、その人が置かれている立場や状況によって変わってきます。

例えば、一人暮らしで毎月20万円の生活費が必要だという場合、年金の受給額が国民年金の約6万5,000円のみであれば、13万5,000円が必要になりますので、その金額を得るために働くことが必要になります。

従って、毎月どれくらいの収入があり、どれだけの金額が支出されるのか、正しく把握する必要があります。

自己実現のために働く場合

自己実現のために働く場合は、「年金が減額される」とか「毎月いくら稼ぐ必要がある」とか気にするのではなく、自分で納得する第二の人生をいかに楽しく、充実して過ごすかという点を重視して働くのが良いでしょう。

ご自分の趣味がそのまま仕事になっているとか、または健康のために働きたいとか、生涯現役でいたいという場合は、自己実現を優先して働きましょう。

そうは言っても、使えるお金が少しでも多い方が良いと思うのが当然です。

厚生年金に加入しながら働く場合は、在職老齢年金に気を付けて働くことで、もらえるお金をより多くすることができます。

このように自己実現のために働く場合でも、在職老齢年金によって減額されないラインをボーダーラインとして就業するのがよいでしょう。

定年後も力いっぱい働きたい人はどうする?

定年後も力いっぱい働きたい人はどうする?

先ほど述べたように、定年退職後も、給与を得ながら労働する場合、もらえるはずだった年金の受給額は減額されてしまいますが、何か裏技は無いのでしょうか?

「力いっぱい働いても、年金が減額されない方法」ってないのでしょうか?

実は裏技があるのです。今回はそれを次の3つのパターンでみていきましょう。

厚生年金に加入しない働き方

結論から言えば、厚生年金に加入しない。それだけです。

年金が減額されるのは、厚生年金に加入して働いていることが前提ですので、厚生年金に加入しない、つまり会社で働いても、会社の社会保険に加入しなければいいのです。

会社の社会保険に加入しないということは、あなたが「個人事業主」として、会社と業務委託契約を結んで業務を提供すればいいのです。

そう言われると、難しそうに聞こえるかも知れませんが、個人事業主=フリーランスという働き方は、ここ数年で良く耳にするようになりましたし、難しいことではありません。

社員としての雇用形態ではありませんが、今までの経験や知識などを活かして、働き続けることができるのです。

一方、会社にとってもメリットがあります。

社員として雇用する訳では無いので、社会保険料を負担する必要はありませんし、個別に契約することで「契約期間」があるため、必要がなくなれば契約期間満了を理由に契約を解除することができるからです。

こういう働き方が認知され、増えてきていますので、一度今いる会社に「業務委託契約」で業務提供するという働き方を申し出てみてはいかがでしょうか?

社会保険を完備していないところを狙う方法も

前述の個人事業主=フリーランスとして業務委託契約を締結して働くという選択肢以外にも、社会保険に加入しないという方法があります。

それは、社会保険に加入していない従業員が5人未満で経営している「個人事業主」のもとで働く方法です。

法人だと、例え社長1人しかいない小さな会社でも社会保険への加入が義務付けられています。しかし、個人事業で経営しているところであれば、従業員が5人未満であれば社会保険に加入する義務はありません。

再就職を探す場合に、社会保険に加入しているかそうでないかは、会社案内や求人票などで確認することができます。

社会保険料を自分で負担する以上の収入が得られるかどうかを試算しながら、何処でどの様に働くのが良いのか検討してみましょう。

会社員として社会保険のメリットを受け、個人事業で稼ぐ!

最後は、とっておきの方法で、実はこれが一番お得な方法です。

それは、社会保険に加入している会社に勤めながら、個人事業主(フリーランス)として働いて、収入を得るという方法です。

会社の給料は、年金が減額されない様に給与額を設定してもらい、その一方で副業として個人事業主で稼ぐことができれば、年金も減額されず、社会保険料も低く抑えながら、副業でさらに収入を増やすことができます。

個人事業主として自営のみで稼げるとしても、社会保険に個人で加入する場合は、収入額に応じて社会保険料も高くなってしまいます。

しかし、会社で社会保険に加入していれば、国民健康保険に加入する必要はありませんので、給与が少なければ社会保険料も安く抑えることができます。

ということで、会社員として年金が減額されない程度で働いて、副業である個人事業でバリバリ働く方法が、年金も減額されず、収入を一番稼ぐ方法だと考えられます。

社会保険に加入するには、1週間の労働時間が20時間以上、月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)などの条件がありますので、その条件を満たせるような就労条件になるように会社と相談しましょう。

年金をもらいながら働くのであれば、まずは必要な収入の確認を

あなたが年金をもらいながら働く目的は何でしょう?

人それぞれによって理由や状況も異なりますし、仮に同じであっても人の価値観も異なりますので、一概には言えません。

年金が減額されないように働くのか、バリバリ働いて社会保険料を支払う分まで稼ぐのか、その答えは、あなた次第です。

現在、老後の生活資金がいくらあって、定年後の生活を送るのにいくら必要で、そのうえで働いてまで収入を得る目的は何なのか明確にして、充実したセカンドライフを過ごしていきましょう。

【参考記事】

・日本年金機構

さ行 在職老齢年金|日本年金機構 (nenkin.go.jp)