65歳以上で離職したときに支給される「高年齢求職者給付金」。もらうにはどんな要件があるの?

「高年齢求職者給付金」という少し聞きなれない言葉をあなたは聞いたことがありますか?

雇用保険、つまり世間一般に広く使われている「失業保険」には、65歳未満の人が受け取れる「基本手当」と、65歳以上の人が受け取れる「高年齢求職者給付金」があります。

この動画では、「高年齢求職者給付金」という制度について、どの様な方が対象に支給されて、どの様な手続きを経て手続きをするのか、さらに支給額の算出方法はどうなっているのかについて詳しく解説していきます。

高年齢求職者給付金とは?

高年齢求職者給付金とは、雇用保険に加入している65歳以上の被保険者が、離職して失業者になった場合に支給されます。

高年齢求職者給付金を受給するための要件としては、次のようなものがあります。

つまり、定年後の高齢者でも働き続けたいという意思と能力があるにも関わらず、なかなか希望する仕事に就くことができない65歳以上の高齢者が対象となります。

この様にみていくと、失業手当と何ら変わらないように思えますので、違いについて詳しく見ていきましょう。

高年齢求職者給付金と基本手当との違いとは?

それでは、高年齢求職者給付金と一般的な失業手当である基本手当とでは、どのような違いがあるのでしょうか?

異なる項目を表にしてみましたのでご覧ください。

大きく異なる点は以下の2点です。

  • 「受給できる金額」
  • 「年金との併給」

基本手当は、新しい仕事に就くまでの経済的な支えになる制度として設計されていますが、高年齢求職者給付金は年金給付も可能にした制度設計になっています。

それでは、高年齢求職者給付金がどの様にして計算されて、一体いくら位支給されるのでしょうか?

高年齢求職者給付金の支給額と計算方法について

続いて、高年齢求職給付金の支給額は、どのような計算方法で算出されるのかについてみていくことにします。

支給額を算出するためには、「賃金日額」と「基本手当日額」のそれぞれが必要となります。

賃金日額とは、以下の計算式で求められる金額です。

賃金とは、残業代、通勤手当、役職手当といった諸手当を含めた総支給額です。

基本手当日額とは、先ほど退職直前の賃金から算出した「賃金日額」をベースにして、下表の計算式で算出されます。

このようにして算出した「基本手当日額」に、被保険者の期間(下表)を掛け合わせた金額が実際の支給額になります。

それでは、具体的な数値を使って支給額を計算してみることにしましょう。

雇用保険に加入していた期間が1年以上あったとします。
退職前6ヶ月の給与は、月額25万円です。

先ずは、賃金日額を計算します。

計算式は、退職前6ヶ月の給与の総額÷180(6ヵ月×30日)ですので
(25万円×6ヶ月)÷180=8,333円

次は、基本手当日額を算出します。
上限額(13,700円)より低く、下限額(2,574円)より高いため、賃金日額は8,333円です。

計算式は、0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5,030)÷7,360}×賃金日額 ですので
0.8×8,333円-0.3×{(8,333円-5,030)÷7,360}×8,333円=5,545円となります。

1円未満の端数は切り捨てます

最後に、高年齢求職者給付金の支給額を算出します。

雇用保険加入が1年以上ですので、計算式は、基本手当日額×50日になり、
5,545円×50日=277,250円となります。

結果は、約27万円というある程度まとまった金額が、一括で振り込まれるという仕組みになっています。

仮に、雇用保険加入が1年未満の場合でも、計算式は、基本手当日額×30日ですので、
5,545円×30日=166,350円となりますので、雇用保険に加入している方は、忘れずに手続きしましょう。

続いて、実際の手続きは何処でどの様に行なうのか見ていきましょう。

高年齢求職者給付金の手続き方法について

高年齢求職者給付金を受給するためには、あなたの住所を管轄するハローワークへ、あなたご自身で求職申し込みや申請の手続きを行なう必要があります。

給付を受ける手続きに必要な書類は、下表のとおりです。

高年齢求職者給付金が、あなたが指定した金融機関の預金口座に振込まれるのは、失業の状態と認定された日が通算して7日間経過しないと支給されません。

これを「待機」と呼びます。

また、自己都合で退職した場合は、待機である7日間に加えて給付制限が追加され、2ヵ月支給されませんのでご注意ください。

さらに、土日や祝日等「金融機関の休日」等がある場合には、その日数分だけ入金が遅れますので、ご注意ください。

給付金を受給できる期間も「職の日の翌日から起算して1年間」となっています。
この期間を過ぎてしまうと給付金を受け取ることができませんので、早めに手続きしましょう。

まとめです

雇用保険法の改正により、65歳以上でも雇用保険に一定期間加入していれば、何度でも受給できる「高年齢求職者給付金」。

年金との併給が可能であるため、経済的にも安心・安定して求職活動を続けることができることも大きなメリットです。

退職後、65歳を超えても、まだまだ現役で働き続けたいと考えているあなた、忘れずに申請して高年齢求職者給付金を受け取ってください。